カンボジアのオンラインデリバリー市場

こんにちは!

今や日本では珍しくなくなったオンライン出前サービスやネットスーパー。
今回は、カンボジアの都市部でもここ数年で市場が形成されつつある、これらのオンラインデリバリーサービスについて取り上げてみたいと思います。

カンボジアのオンライン出前サービス

オンライン出前サービスと言えば、昨年9月、世界的な配車サービスのUberがバイクや自転車で出前を行うUber EATSを東京都心で開始し、新たな出前のスタイルとして注目を浴びていますね。

ここカンボジアでも、4年程前からオンライン出前サービスが存在し、その需要は拡大しつつあります。

2012年には、2007年から紙媒体のポケットガイドにレストラン情報を掲載し、宅配サービスを行っていたDOOR・2・DOORが、紙面の他にオンライン注文サービスを開始。

DOOR・2・DOOR

翌年2013年には、現在急成長中のMeal Templeがサービスをローンチしました。
プノンペンポスト紙によると、Meal Templeは、サービスローンチ後4年間で急速に規模を拡大し、現在では首都プノンペンだけでなく、シェムリアップ、シアヌークビルにある計288のレストランを掲載中です。

Meal Temple

掲載しているレストランのジャンルは、地元クメール料理を含むアジアン料理、ウエスタン、イタリアン、中華、和食、ハンバーガー、カフェ・・・など様々。
掲載されている料理の価格は、レストランで注文する場合と同じです。

オンライン上で現在地の住所を入力すると、近くにあるレストランが表示されます。
メニューを選び、カートに入れ、注文ボタンを押すと、すぐにレストランの担当者から登録した電話番号に電話がかかってきます。

配達先の住所確認を受けたら、あとは待つだけ。
プノンペン市内中心部であれば、概ね1時間以内に自宅まで配達員さんがバイクで届けてくれます。

配達料は$1(固定)で、支払いは商品代引き・現金払い。
お釣りも用意してくれています。

昨年2016年には後発のNHAM24がサービスをローンチ。

NHAM24

同じくプノンペンポスト紙によれば、NHAM24はローンチ後数ヶ月は既存の2つのプレイヤーとの共存に苦戦し、まったく注文が入らない日もあったといいます。
しかし、この1年間でニッチを狙う戦略に変更したところ、現在では合計220の掲載レストランから、1日200件程の注文が入るようになったということです。

創設者によると、NHAM24の初期の成長を支えたのは、カンボジア人中間層で、現在もこれらの層が顧客の6割程を占めるとのこと。

NHAM24の注文システム自体は、Meal Templeとよく似ています。
掲載レストランはMeal Templeと被るところもありますが、Meal Templeに比べ、特に現地のクメール料理レストランの掲載件数が多くなっています。
今後は、NHAM24の注文システムを活用し、食材、日用品、ランドリー等の宅配等へとサービスを拡大していくことも視野に入れているそうです。

カンボジアのネットスーパー

オンライン上で食材や日用品の購入ができ、宅配してもらえる所謂ネットスーパーも、この2年位でいくつかローンチされています。

Khmer To GoLinking Food(いずれも2015年ローンチ)は、いずれもローンチ当初は飲食店等の店舗をターゲットとしていましたが、現在では一般消費者向けの小売にも対応しています。

KHMER To Go
Linking Food

いずれのサービスも、オンライン上で生鮮食品、加工食品、日用品等の各種商品の検索・在庫確認・購入を行うことができます。

ちょうど一昨日、イオンのスーパーマーケット「マックスバリュエクスプレス」の1号店がプノンペンにオープンしたことが話題になっていますが、現状、プノンペンでも、何でも揃うスーパーマーケットの数は十分でなく、市場やジャンル別の商店で欲しいものをそれぞれ品定めし、仕入れ・購入を行う店舗や消費者も少なくありません。

イオン マックスバリュエクスプレス ルセイケオ店
<写真:流通ニュースより>

一度に様々なジャンルの商品をインターネット上で注文できることは、スーパーマーケットが充実している日本において以上に、利便性を感じられるのではないでしょうか。
さらに、共働き家庭が多い、移動は主に車かバイク、買い物の度に交通渋滞や駐車・駐輪場所探しに悩まされる・・・といったカンボジア都市部の生活環境が、これらのサービスの利用を後押しするのではないかと思われます。

今後の展開は?

こちらの記事で取り上げたように、
カンボジアには既に、スマートフォンひとつでタクシーやトゥクトゥク、バイクタクシーを呼ぶことができる“Uberライク”なサービス(※2017年4月時点 でUberはカンボジア市場未参入)が続々と登場しています。

EXNET TAXI

これは利用者にとっても、空き時間で副収入を得られるドライバーにとっても嬉しい仕組みですよね。

カンボジアでは、Uber EATSのように、登録ドライバーが近隣レストランの食事を運んでくれるようなサービスはまだありませんが、最近の配車サービス市場の盛り上がりを見ると、カンボジアでもこのようなサービスがローンチされる日も遠くないのでは?と思います。

そして、オンラインサービスを行う上で必ず課題になるのが決済方法。

15歳以上の銀行口座保有率は22.2%クレジットカード利用率は2.3%(世界銀行Global Findex 2014』)と、ASEAN諸国の中でも特に低い水準のカンボジアでは、配車サービスにせよ、デリバリーサービスにせよ、決済は現金払いが一般的です。
商品・サービスの注文や購入をオンライン上で行えるサービスは様々な分野で増えていますが、決済までオンライン上で完結しないものが多くなっているのが現状です。

昨今カンボジアでは、このような一般消費者向けのサービスだけでなく、役所の事業登録手続き等でもオンライン化が進んでおり、一見非常に先進的なサービスに思えるものもあります。

しかし、カンボジアのような発展途上国では、一気にシステムをオンライン化しようとしても、現地の生活スタイルや実際の運用が追いつかない部分がどうしても出てきます。
サービス開発も、こうした現地の状況に合わせ、ステップバイステップで進めていく必要があるのですね。

今後、カンボジアの人々の生活スタイルの変化に合わせ、どのようにオンラインサービスが進化していくのか。

デリバリーサービスにもその進化の一端が現れてくるでしょう!

▼参考リンク:
・『The Phnom Penh Post』Keying into a hungry market(2017.3.23)
http://www.phnompenhpost.com/business/keying-hungry-market

・『The Phnom Penh Post』Online supermarket ready to take orders(2015.11.10)
http://www.phnompenhpost.com/business/online-supermarket-ready-take-orders

・『流通ニュース』イオン/カンボジアにスーパーマーケット1号店(2017.3.28)
https://ryutsuu.biz/abroad/j032806.html

・DOOR・2・DOOR
http://d2d-cambodia.com/

・MEAL TEMPLE
http://mealtemple.com/

・NHAM24
https://nham24.com/home

・Linking Food
http://www.linkingfood.com/index.php

・Khmer To Go
http://www.khmertogo.com/