本格コーヒーから変わり種まで 進化するカンボジアの屋台カフェ事情

カンボジアのカフェ最新事情

以前、こちらの記事でもご紹介したように、カンボジア人はカフェが大好きです。

中でもCafé Amazonは、記事を更新した2017年2月以降も新店舗が続々とオープンしており、まさに急展開中ですが、今のところどの店舗を覗いても満席という状況。

手頃な値段で入れる話題のブランド店ということで、カンボジア人の若者の間では「Café Amazon」に行くこと自体が一種の流行りになっているようです。
人気店だし、店内の雰囲気も良いし、友達と集まったり勉強や仕事に集中しやすい」ということで、弊社のカンボジア人スタッフ(20代前半・男性)も週1回は通っているそう。
ちなみにこのスタッフは、「STARBUCKS」は1回のみトライしたことがあるものの、「STARBUCKS」参入以前からカンボジア人の間で不動の人気を誇る「BROWN COFFEE」には一度も入ったことがないとのこと。「Café Amazon」はこれまでカフェに馴染みがなかった層も着々と取り込んでいる様子です。

さて、カンボジアのカフェの近年のトレンドとしては、屋内店舗型のカフェだけでなく、急増する屋台カフェも見逃せません。

元々は、日本人経営の「UEDA COFFE」が屋台カフェの走りとも言われていますが、今では至るところに同様の可動式屋台カフェを目にすることができます。

カフェ専門屋台から食べ物と一緒にコーヒーを売る屋台までを合わせると、路上でコーヒーを購入できる場所はまさに無数にあります。

これまで、このような屋台カフェで購入できるコーヒーの定番と言えば、カンボジアでも採れるロブスタ種の豆を使い、練乳をたくさん入れた甘〜いミルクコーヒーでした。
お値段は1杯2,000リエル(約$0.5)位~。屋内店舗型のカフェメニューの2分の1~3分の1以下とリーズナブルです。

コーヒー自体の味はベトナムコーヒーに近いと言うと、日本の方々もイメージしやすいでしょうか?
カップいっぱいに氷を入れた上から少量のコーヒーと缶に入った練乳をたっぷり。はじめは「甘すぎて飲めない!」と言っていた人もいつの間にかやみつきになってしまうようなお味です。
中にはその場で抽出してくれる店舗もありますが、ペットボトル等に入った作り置きのコーヒーにその場で練乳を混ぜて作っているお店も少なくありません。

屋台カフェは、ドリンクを作る最低限の原材料と容器、屋台用カートがあればすぐに始められる低投資ビジネスの代表格とも言えるでしょう。

屋台はどんどんお洒落に、本格的に

これまでは、屋台カフェと「BROWN COFFEE」など屋内店舗型のカフェで飲むコーヒーとでは、メニューの値段も味も異なりました。

カンボジア式の甘〜いコーヒーを飲みたければ屋台へ、エスプレッソマシンを使った本格コーヒーを飲みたければ屋内店舗型のカフェに行く必要がありました。

それが、最近では、エスプレッソマシンを搭載した本格屋台カフェが増えてきているのです。

しかも、これらの屋台の多くは外装にもこだわり、従来の屋台に比べると格段とお洒落。コーヒー豆は日本人にも馴染みのあるアラビカ種を使い、値段は従来屋台と屋内店舗型カフェの中間位

弊社HUGSが絆ストリートプロジェクトを推進しているストリート63にも、以前はなかったお洒落な屋台が続々とできてきています。

まず、こちらの「BLACK&WHITE coffee」

これまでの屋台では見られなかったようなお洒落な看板がすぐに目に飛び込んできます。

コーヒー豆は主にカンボジア国産のものを使用していますが、エスプレッソマシンはイタリア製のもの。

本格的なエスプレッソを使ったカフェラテやカプチーノを楽しめます。
カンボジア人のお客さんの一番人気はアイスカフェラテ($1.25)とのこと。

コーヒーの他にはフラッペのほか、その場でフレッシュフルーツを絞って作るソーダなども提供しています。

裏手には内カフェスペースもあり、そちらでドリンクを片手に休むこともできます。

オーナーのカンボジア人女性に話を伺うと、現在「BLACK&WHITE coffee」はプノンペン市内に7店あり、主にオーナーの家族が運営していますが、研修費を含む$8,000の初期投資でフランチャイズ加盟も可能だということです。

続いて、ケーキ屋「ふわり」さんの前に今年オープンした「Stop N Drink」

こちらはオリジナルブランドでフランチャイズ展開はしていないとのこと。
エスプレッソマシンはイタリア製、コーヒー豆もイタリアからの輸入品を使用しているそうです。
やはりカンボジア人のお客さんに一番売れるのはアイスカフェラテ($1.5)だそう。

こちらのお店も屋台カートの後ろに小さなテーブルと椅子があり、座って休むことができます。

「ふわり」さんでケーキを買い、こちらの屋台でコーヒーを買って一休みしても良さそうですね。

急速にフランチャイズ化。今注目の屋台カフェ

続いて紹介するのは、ちょっと変わり種の屋台カフェです。

こちらは、日本の北海道産ミルクを使った甘い飲み物が人気のMonsne Café」
青とピンクのカートに日本語で“ミルク”、そして”HOKKAIDO MILK”と書いてあるのが目を引きますね。

プノンペンポスト紙によると、
今年4月にチェンラ大学という私立大学前に1号店としてオープンしたこの店舗は、オープン後5日間で3,000杯以上を販売したという好調ぶり。オープン後すぐの4月下旬からフランチャイジーを募集したところ、すぐに15件契約が決まったそう。
現在プノンペン市内に既に7店がオープンしており、8店が出店準備中とのこと。

実際にチェンラ大学前の1号店で注文をしてみました。

メニューは以下のように、北海道産のミルクに各種フレーバーを加えたものが中心で、ミルク系ドリンクの値段は一律$1.2
+$0.2でトッピングをすることもできます。

店員さんにお話を伺うと、現在でも1日100〜200杯程はコンスタントに売れているそう。
人気メニューはオーソドックスなMonsne Hokkaido MilkThai Tea Hokkaido Milkなど。

日本でも見覚えのある青いモンスターを模したこんな特別メニューも。

こちらの特別メニューは毎日このチェンラ大学前だけで個数限定で販売しており、プレミア感を演出しています。

1号店の裏手の民家がMonsne Caféオーナーのオフィスであるため、夕方になると仕事を終えたカートが街中からここに戻ってきているそうです。

牛の頭がついたこのカート。複数台並ぶとインパクトがありますね。

フランチャイズオーナーは29歳のカンボジア人男性
自身もFacebookページに頻繁に登場し、商品やフランチャイズビジネスのアピールをする力の入れよう。
屋台前では自らお客さんに「写真撮りましょうか?」と声をかけ、お客さんと商品とともにセルフィー。
ファンを巻き込んでランド育成していこうとする姿勢が見られます。

「Monsne Café」はその他にも、牛のカートの列が続々と”出陣”するインパクトあるFacebook動画広告や、街頭に牛の着ぐるみが繰り出すリアルなイベント、「Facebookのプロフィール写真をMonsne Caféに変更し、Monsne Caféをタグづけした人の中から大賞を選出!」というキャンペーンなど、他の屋台には見られないユニークな広告宣伝を行い、短期間で一気に認知を獲得してきた模様です。

前述のプノンペンポスト紙によると、
フランチャイズ加盟金は、カート・原材料・容器・研修費などすべて含めて$20,000。ロイヤリティーは初めの3年間で$300/月

とのことですが、現在も500人以上フランチャイズに興味がある人がいるというMonsne Café。
シェムリアップとバッタンバンでも出店が計画されています。

Facebookページでも大々的にフランチャイズ加盟への呼びかけがなされています。

加盟金は他の屋台カフェや人気のCafe Amazon($16,000)に比べて安くはないですが、短期間で確立されつつあるブランド力と、固定店舗でないためランニングコストを最低限に抑えられるということから、多くのカンボジア人にとって魅力的なビジネスと映るのでしょう。
オーナー自ら研修をしており1店ローンチするのに時間がかかるということで、一気に出店とはいかないようですが、至るところで牛のカートを見かけるようになる日も近いかもしれません。

場所によっては供給過多とも思える程にカフェが乱立するカンボジア。
近年のカフェブームが今後どのように形を変え進化していくのか、今後もレポートしていきたいと思います。

▼参考リンク:
『The Phnom Penh Post』Herd of mobile milk cafés grows(2017.8.15)
http://www.phnompenhpost.com/business/herd-mobile-milk-cafes-grows

Monsne Café Facebookページ
https://www.facebook.com/monsnecambodia/?fref=ts

 


絆ストリートのレストラン 〜カンボジアのひもの屋、麺屋武一〜

こんにちは!

日本の文化とおもてなしの心をカンボジアへ広めるという志のもと、弊社HUGSで2013年から進めてきた絆ストリートプロジェクト

今回は、2015年2月のオープン以来順調に売上を伸ばしている「カンボジアのひもの屋」と複合業態の「麺屋武一」訪問し、オーナーである井口 孝志社長にお話をお伺いさせて頂きました。

大手企業の駐在員時代に芽生えた食への想い

井口社長は北海道札幌市のご出身。
国立東京商船大学大学院(現東京海洋大学大学院)で博士前期課程を修了された後、株式会社日揮に入社。約5年間の在職期間中には、1年半のインドネシア駐在を経験されています。

駐在されていたのは、インドネシア第2の都市スラバヤからさらに車で3時間程のところにあるトゥバン。そこで日本人8人で4,000人の現地スタッフを動員するという大規模なプロジェクトに従事されていました。

トゥバンには日本食レストランこそありませんでしたが、多忙を極める現地での生活の中、井口社長を癒やしてくれたのはいつも“食”でした。

そのような経験を通じ、いつからか飲食分野での起業を志すようになったといいます。

現在、日本国内外で合計9店舗13業態を展開する井口社長ですが、食を通じて安心感や懐かしさを感じてもらいたいという願いには、インドネシア駐在時代にご自身が感じた様々な想いが込められているのでしょう。

飲食の道で生きることを決意した井口社長は、インドネシア駐在後に日揮を退職。
「つぼ八」創業者であり、当時「ひもの屋」を展開していた石井 誠二氏率いる株式会社 八百八町にて、2006年から新たなキャリアをスタートさせました。

そして、1年後の2007年には個人事業として「綱島のひもの屋」の業務委託契約を開始し、後に独立。
株式会社 エキサイトとして法人化し、日本国内で複数の出店を行った後、2015年2月から海外進出。

その後、たった2年の間にカンボジア、シンガポール、ベトナムの3カ国に4店舗6業態を次々に出店され、現在に至っておられます。

海外初出店の地、カンボジアの魅力とは?

2017年現在のプノンペン

今では日本と海外3カ国を毎月頻繁に行き来し、各国で精力的に活動されている井口社長ですが、海外展開はここカンボジアからスタートされました。

海外出店にあたっては、以前駐在していたインドネシアや、後に出店することになるシンガポール、ベトナムといったASEAN諸国を視察していたそうですが、なぜ初出店の地としてカンボジアを選ばれたのでしょうか?

その理由を伺ってみると、

-出店コスト、ランニングコストが低い
-独資で開業可能であるため、スピーディな出店が可能
-英語が通じる
-米ドルが主要通貨として流通しており、極端なインフレがなく安定している

といった点が大きかったといいます。

また、「これは出店後に他国と比較する中で感じるようになったカンボジアの良い部分」と前置きしながら、

-賄賂請求等が比較的少なくクリーン
-会計システムがシンガポールや香港など先進国に似ていてやりやすい
-英語堪能、ハングリー精神旺盛なスタッフが多い

といった点を挙げられました。

3カ国で同時展開する中で、カンボジアのビジネス環境を出店時とはまた違った角度から評価されているようです。

改良を積み重ね、売上は右肩上がり

「カンボジアのひもの屋」と「麺屋武一」の複合業態店

さてここで、井口社長率いるエキサイトグループがカンボジアで経営するお店をご紹介したいと思います。

2015年2月の出店時には「カンボジアのひもの屋」の1業態でしたが、2016年7月に一部店舗を改装し、東京新橋に本店を持つ人気ブランド「鶏白湯ラーメン・麺屋武一」をフランチャイジーとしてオープン。1店舗2業態というカンボジアではまだ珍しい試みをスタートされました。

気になる現在の月商は、オープン初期対比2.3倍とのこと。

顧客層については、オープン当初は日本人のお客様が大半を占めていましたが、現在では日本人3:その他7という割合に。
日本人の固定客数は維持したまま、その他のお客様数が増えたことで日本人割合が下がってきたという、理想的な状況です。
ラーメン提供開始をきっかけに、中華系カンボジア人台湾・香港人のお客様が増えてきたといいます。

平均単価についても、
オープン当初(2015年):約$12⇒オープン後1年(2016年3月): 約$20⇒現在(2017年8月):約$25と着実に上がっています。
※いずれも、「ひもの屋」のディナー単価

単価アップには、オープン後に状況を見て「ひもの屋」メニューの価格設定を見直したこと、ラーメン提供を始めたことが関係しているのではないかと思われます。

ランチにも飲んだ後の締めにもぴったり。麺屋武一のラーメン

ちなみに、「麺屋武一」単体平均単価は約$8「ひもの屋」ランチの平均単価約$10
ランチについては、今後もう少し価格を下げることで、日本人以外のお客様をさらに多く取り込んでいきたいとのことです。

人気メニューは、

日本人のお客様では「ひもの屋」の看板メニューである縞ホッケ(フルサイズ:$17.8、ハーフ:$9.3)や締めのラーメン(スモール:$4.5〜)など。

カンボジア人のお客様では、お刺身($5.5〜)のほか、日本では提供していない寿司(2貫:$2.9〜)、寿司ロール($5.8〜)や唐揚げ(フルサイズ:$5.8、ハーフ:$3.5)などのチキン系のメニューだそう。

ひもの屋といえば、特大縞ホッケ
日本から直送された鮮魚を使ったお刺身
カンボジア人も大好きな寿司、寿司ロール

メニューの一部でローカライズを行いながら、“Japanese Historical居酒屋”というコンセプトの通り、店内の雰囲気を含め、現地の人々にも分かりやすく、日本の良いイメージ・安心感や懐かしさを感じるような工夫が随所になされています。

日本から届いたばかりの鮮魚達
日本酒ほか酒類も豊富。カンボジア人のお客様には熱燗のウケがよいそう

人を育てる経営へのこだわり

エネルギッシュなスタッフの皆さん

オープン後、順調に売上を伸ばしている要因の一つに、井口社長の徹底した育成の姿勢が挙げられると思います。

現地スタッフの管理・育成は、海外出店においてもっとも苦労することの一つと言っても過言ではないでしょう。

海外でビジネスをする以上、現地の文化・慣習の理解が必須で、すべてにおいて“日本式”を押し付ける訳にはいきませんが、ブランドを守り、日本のサービスの良い部分を守るためには管理が必要になってきます。

しかし、グローバルに多店舗展開している企業になればなるほど、オーナーやマネージャーが1箇所につきっきりでいることは難しくなりがち。
現地に日本人の管理者が不在の場合、現場との意識のズレが生じ、統制が取れなかったり、スタッフのモチベーション維持が難しい場合もあります。

そんな中、「カンボジアのひもの屋」「麺屋武一」では、現在常駐の日本人スタッフはおらず、マネージャークラスのカンボジア人4名を中心に、総計約20名のカンボジア人スタッフのみで運営を行っています。

これだけでも驚きですが、さらに驚くべきことは、スタッフの3割は2年以上勤続、残りの7割も1年以上勤続しているという点です。
数ヶ月以内に離職してしまう人も多く、職を転々とするのが珍しくないカンボジアにおいて、スタッフが辞めないというのは本当に素晴らしいことです。

オープン後、2年間は日本人店長が常駐していたものの、軌道に乗った段階でカンボジア人のみの体制にする判断をした井口社長。

各国を飛び回る過密スケジュールの中、ご自身も毎月必ずカンボジアを訪れ、スタッフと密にコミュニケーションを取ることを非常に大事にされています。

また、「カンボジア人スタッフは英語が堪能。さらに、仕事に対してハングリーで勢いがある優秀なスタッフが多い。」と仰います。

社長自ら毎月現場に顔を出し、直接スタッフとコミュニケーションを取り、指導すること。
そして、社長のスタッフに対する期待と信頼が、彼らのモチベーション維持に繋がり、ひいては売上に繋がっているのだと強く感じます。

さらにアジアへ、カンボジアへ!

井口社長と

最後に、

全体方針としては、アジアで5年以内に30店舗展開
カンボジアにおいては向こう1年以内に1~2 店舗新規出店
という今後の目標についてもお伺いすることができました。

2年半カンボジアで事業を継続された上で、
「ここにはチャンスしかない!」と力強く語る井口社長。

今後のカンボジアでの展開が楽しみで仕方ありません!

店舗情報

カンボジアのひもの屋、麺屋武一

❖住所:
No.56, St.63 Sangkat Tonle Bassac, Khan Chamkarmon
❖電話番号:
023 452 8888
❖営業時間:
11:00〜26:00
❖Facebookページ:
https://www.facebook.com/himonoyacambodia/?fref=ts


交通渋滞緩和に期待。プノンペンの路線バスが増線へ

こんにちは!

昨年、在留邦人数が3,000人を超えたカンボジア(H29年 外務省「海外在留邦人数調査統計」より)。
大企業の進出も除々に進んでおり、今後家族連れで首都プノンペンに移住される方もますます増えてくることと思います。
そんな中、在住者にとっても、これから移住される方々にとっても気になるものの一つに、交通インフラがあるのではないでしょうか。

今回は、今後さらなる発展が期待される交通機関の一つ、プノンペンの路線バスについて取り上げてみたいと思います。

プノンペンの交通事情

カンボジアでは、首都プノンペンであっても市内の移動手段は車、バイク、自転車がメインとなっており、公共交通機関が殆どありません。

自家用車や自家用バイク・自転車を持たない人々は、日常的にタクシー、トゥクトゥク(三輪タクシー)、バイクタクシー等で移動することになります。
これらの移動手段は、基本的に出発地から目的地までのドアツードア移動ですので、その点ではストレスフリーともいえます。
一方、日常的に起こる交通渋滞や交通事故は在住者の頭痛の種です。経済成長とともに都市部の人口・車両が増え続ける中、渋滞はますますひどくなっていくことも予想できます。

そのような中、プノンペンの交通状況改善施策の一貫として始動したのが「プノンペン公共バス交通改善計画」

先程、公共交通機関が“殆ど”ないと書いたのは、実はプノンペン市内には既に公共の路線バスが走っているからです。

こちらの路線バス。歴史は浅く、2014年に開通したばかりです。バス公社も同年に設立されました。現在市内に3路線走っていますが、プノンペン市民における利用率は約0.3%(「グローバルニュースアジア」より)と非常に低くなっており、期待されていた渋滞解消への寄与には至っていない状況です。

利用者が増えない要因の一つには路線数が少ないことが挙げられるかと思いますが、前述の「プノンペン公共バス交通改善計画」により、2020年までに10路線まで増線・整備が行われる予定です。

同計画については、昨年11月、日本の国際協力機構(JICA)がカンボジア政府との間で13億9600万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結し、公共路線バスの調達支援を行うことになりました。

また、プノンペンポスト紙によると、今月上旬には早々に5路線が増線されるとのこと。
今回の増線にあたっては、中国が新品のバスを100台寄贈したといいます。
追加の5路線がいつから本格稼働するのかは分かりませんが、主要な幹線道路を結ぶ線もできるということで、これからのバス利用率増加に期待が持てます。

プノンペンの路線バス

前述の通り、現在はまだ利用率が低いプノンペンの公共路線バスですが、実際の使い勝手はどのようなものなのでしょうか?

上の写真は1番の路線バス。
車体は比較的綺麗です。

バス停には、バス待ちをする人々。

運行時間は5:30〜20:30
バスはおよそ15分程度の間隔でやってきます。

運賃は片道一律1,500リエル(約0.38USドル)
トゥクトゥクで市内近距離間を移動すると、距離にもよりますが片道で1~4USドル位はかかってくるので、これはかなりの低価格設定といえます。さらに、学生、お年寄り、障害者、僧侶は無料です。
通学・下校時間には学生の利用客で混雑することも。

市内3路線は空港方面と市内を結ぶ線などあり、存在を知っていれば、現地の人々はもちろん、空港利用のある外国人にとっても、割と使い勝手の良い路線といえそうです。

車内はエアコンも効いており、快適に乗車できます。

日常の行動圏内に路線がある場合は、使わないと損かもしれません。

路線バス利用率向上の課題と可能性

さて。
増線で利用率向上に期待がかかるプノンペンの路線バスですが、カンボジア人の人々が頻繁に利用するようになるまでには、少し時間がかかることも予想されます。

バスを利用する場合、バス停から目的地までは、どうしても多少の徒歩移動が発生すると思います。

しかし、これまでドアツードア移動が普通だったカンボジアの人々は、日頃自分の足で歩く機会が殆どなく、ちょっとした距離の徒歩移動でも疲れてしまう人が少なくありません。
日本に行ったことがあるカンボジアの人々の中には、電車に乗るために駅構内を歩くだけですぐ疲れを感じてしまうという人も。

また、日本のようにきちんと整備された歩道がなく、車道ギリギリに車がぎっしり駐まっており、歩きづらいという問題もあります。バス利用を増やすためには、バスだけでなく周辺環境の整備も必要になってきそうです。

一方、自分のバイクを持たず、家族と共用していたり、いつも家族に送り迎えしてもらっているカンボジア人が少なくないのも事実です。
自分の足で動けないというのは結構不便ですし、毎回トゥクトゥクやバイクタクシーを使うと出費もかさみます。
今回の増線により、路線バス利用という選択肢が市民の間でも少しずつ認知され、除々に利用の習慣化が進んでいくとよいですね。

在住者としては、バス利用が増えることで渋滞が減ることはもちろん、同じくJICAが支援する信号機設置等の交通管制システム整備も相まって交通状況が改善され、より安心して暮らせるようになることを願うばかりです。

 

▼参考リンク:

・外務省 海外在留邦人数調査統計
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000043.html

・国際協力機構(JICA)ニュースリリース(2016.11.30)
https://www.jica.go.jp/press/2016/20161130_01.html

・『グローバルニュースアジア』【カンボジア】プノンペン、バス運営改善プロジェクトーJICA(2017.2.26)
http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=4130&country=6&p=2

・『The Phnom Penh Post』 100 additional buses descend into city』(2017.6.29)
http://www.phnompenhpost.com/post-property/100-additional-buses-descend-city